脊髄損傷について

脊髄損傷とは、人間の小脳から腰椎(ようつい)に伸びている中枢神経である脊髄(せきずい)が、交通事故で生じた衝撃によって損傷することをいいます。症状としては損傷された脊髄から手足の指先の部分において運動・知覚に障害が現れ、また麻痺を生じます。
脊髄損傷には、完全麻痺ならびに不完全麻痺があります。

完全麻痺は、下肢がまったく動かず感覚もなくなった状態のことをいいます。しかし、全く何も感じないわけではありません。受傷した部分から下の麻痺した部分にかけて、痛みを感じることもあります。頚椎を損傷した場合には、四肢全てが動かないという状態になります。

不完全麻痺とは、脊髄の一部が損傷して一部が麻痺をしている状態のことをいいます。ある程度運動機能が残っている軽症から感覚知覚機能だけ残った重症なものもあります。

脊髄は、脳と同じ中枢神経です。従って、完全麻痺と不完全麻痺どちらの場合であっても、一度傷つくと二度と元に戻りません。ですので脊髄を損傷すると、交通事故後の生活に何かと支障を来すことは否めません。場合によっては家屋の改造なども必要になってくるでしょう。

その後の生活を安定させるためには、適切な後遺症認定を受けしっかりとした補償を受けることが不可欠です。

麻痺の範囲

四肢麻痺…両側の四肢の麻痺
対麻痺…両下肢又は両上肢の麻痺
片麻痺…一側上下肢の麻痺
単麻痺…上肢又は下肢の一肢のみの麻痺

麻痺の程度

高度…傷害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作(下肢の場合は歩行や立位、上肢の場合は物を持ち上げて移動させること)ができない

中等度…傷害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある

軽度…障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度失われている

障害等級の例

第1級…高度の対麻痺が認められる場合など

第2級…中程度の四肢麻痺が認められる場合など

第3級…中程度の対麻痺が認められる場合など

脊髄損傷の認定

脊髄損傷の認定は、麻痺の範囲とその程度を踏まえて行われます。また脊髄損傷の障害は、臓器の障害や脊柱の障害を伴うことも多いため、それら障害も含めた等級認定が行われることになります。

認定には、医師の後遺障害診断書に加えて、高次CT画像やMRI画像などの画像所見、神経学的所見などの資料が必要です。

認定のためには、上記のような必要な資料を整えた上で認定手続きをしなければなりません。交通事故によって脊髄損傷となってしまった方場合、すぐに脊髄損傷に詳しい弁護士にご相談しましょう。

遷延性意識障害って?

遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)とは、一般的に「植物状態」と呼ばれている症状の後遺障害です。

日本脳神経外科学会によると、下記の6つの条件に当てはまる状態が3ヶ月以上の間、継続して見られた場合を「遷延性意識障害者(せんえんせいいしきしょうがい)」と呼んでいます。

遷延性意識障害の定義

①自力移動ができない。
②自力摂食ができない。
③屎尿失禁をしてしまう。
④眼球はかろうじて物を追うこともあるが、認識はできない。
⑤「目を開け」「手を握れ」などの簡単な命令は応ずることもあるが、それ以上の意志の疎通はできない。
⑥声を出しても意味のある発語ができない。

遷延性意識障害の場合、通常では常に介護を要しますが、適正な等級認定を受け、して第1級が認定されると、上限の4000万円までの補償を受けることができます。

遷延性意識障害で適正な等級を得るためには、例えば、高次CT画像やMRI画像、また、医師が診察して作成した後遺障害診断書などの適切な資料を用意する必要があります。

もしご家族で交通事故にお遭いになられた方で、遷延性意識障害と思われる症状を発生しておりましたら、すぐに交通事故に詳しい弁護士にご相談しましょう。

当事務所では、遷延性意識障害の方が、適正な賠償金を獲得することができるよう、外部の後遺障害の専門家と連携し、全力でサポート致しております。遷延性意識障害でお悩みになられている方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

なお遷延性意識障害となった場合、自己の財産を管理したり、契約を締結したりすることが出来ないため、一般的には家庭裁判所に成年後見人選任の申立をする必要があります。当事務所では、この点も含めてサポートしております。詳しくはお問い合わせください。

高次脳機能障害認定のポイント

高次脳機能障害で適正な後遺障害認定を受けるためには下記の6つのポイントに十分注意することが必要です。適正な賠償金を獲得するためにも、下記の6つのポイントをしっかり理解しましょう。

1.交通事故に遭ったらまずは交通事故に詳しい弁護士に相談

交通事故直後からの対応次第で、受け取ることができる賠償金が大きく異なってきます。適切な対応を取り、適正な賠償金を受け取るためにも、まずは交通事故を専門的に取り扱っている交通事故に詳しい弁護士に相談し、適切な治療方法、そして適切な等級認定の獲得方法を知った上で行動しましょう。

2.高次脳機能障害を専門的に扱う医師に診察を受けましょう

高次脳機能障害は外見からの判断が難しい後遺障害です。事故により人格・性格が変わってしまい、また記憶障害などが生じてしまい、日常生活に支障が出ていることが明らかなのに、治療によって外見上は回復している場合も多くあります。

そのため、脳神経外科、整形外科だけでなく、神経心理学、神経内科、リハビリなどにも対応できる、高次脳機能障害を専門的に扱う病院で診断を受けなければ、適切な診断、適切な治療を行なえない場合があります。

3.事故直後に画像を撮影

症状固定の際に高次脳機能障害の認定を受ける場合には、その時の診断だけでなく、事故に遭ったときから症状固定のときまでの、治療・回復の流れを記録しておく必要があります。

高次脳機能障害の症状が現れた際には、医師に相談し、すぐにMRI、XP、CTなどの脳の状態の画像撮影が可能な機器での撮影を行ってもらいましょう。また治療の継続中も、必要に応じて画像を撮影してもらいましょう。

4.神経心理学的検査を実施

高次脳機能障害は外見上回復していることも多く、客観的に判断することは非常に難しいです。そのため画像に加えて、認知障害、行動障害について定量的に調べる検査を行います。各検査別によく用いられる方式は下記のとおりです。

知能検査 ウェクスラー成人知能検査、長谷川式簡易痴呆スケール改訂版
言語機能に関する検査 標準失語症検査
記憶検査 日本版ウェクスラー記憶検査、三宅式記銘検査
遂行機能検査 ウィスコンシン・カード・ソーティングテスト

5.リハビリのための通院をしましょう

リハビリのため定期的に通院することによって、高次脳機能障害の症状が回復する可能性があることが確認されています。

また損害賠償請求の際、客観的に高次脳機能障害だと示す資料が必要となりますが、通院によって定期的な記録が残ることになります。リハビリを受けた際、病院ではカルテを作成しますが、自分でもリハビリを受けた記録を継続的に取りつづけましょう。家族が記録をすることでも構いません。

6.後遺障害診断書の作成依頼をしましょう

高次脳機能障害はリハビリで回復する可能性があるとはいえ、やはり限界もあります。他の後遺障害と同様に、リハビリを続けても、継続的な回復の可能性が見込めなくなる時期(症状固定)が訪れるのです。

この場合は高次脳機能障害の後遺障害が残ったことになりますので、適切な時期に、通院をしている病院の医者に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。また、後遺障害診断書以外にも、神経系統の障害を示す医学的所見、ならびに日常生活状況報告などの書類を作成してもらう必要があります。

当事務所では、上記の6ポイントを徹底し、高次脳機能障害を抱えられた被害者の方が適正な後遺障害等級を認定してもらえるようサポート致しております。もし「高次脳機能障害かな?」と思われる症状をお持ちの方が交通事故被害者の方でいる場合、お気軽にご相談下さい。

高次脳機能障害とは?

1.高次脳機能障害とは?

交通事故に遭うと、激しい衝撃によって頭部をぶつけることがあります。このように頭部に激しい衝撃が加わった場合、高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)と呼ばれる後遺障害を発症する場合があります。

高次脳機能障害とは、失語・失行・失認のほか、記憶障害・注意障害・行動障害などが含まれる後遺障害であるとされています。交通事故後に病院で撮影されたCT画像やMRIの画像からの所見では、明確な脳の損傷が発見されない場合もありますが、その場合も被害者の記憶力や注意力の低下が生じることもあります。

また、高次脳機能障害は精神的側面にも影響が生じ,社会生活への適応能力が低下してしまう例があります。そのため、被害者の仕事や日常生活などに支障が生じることがあります。

なお高次脳機能障害の診断名としては、「脳挫傷後遺症(のうざしょうこういしょう)」「びまん性軸策損傷後遺症(びまんせいじくさくそんしょうこういしょう)」とされる場合が多いです。

もし、周囲に交通事故に遭われた後に、例えば、記憶力や集中力が低下してしまった、感情のコントロールができなくなった、感情の起伏が激しく怒りっぽくなったなど、交通事故前とは変わったと感じられる方がいる場合、早期の対応が必要ですのでお早めにご相談下さい。

2.高次脳機能障害の認定

高次脳機能障害の等級認定は,医師の診断書の他,事故発生から症状固定までの画像検査結果,医師や家族などの報告を元に行われます。

高次脳機能障害の認定基準(自賠責)は以下のとおりです。

等級 認定基準の考え方
1級1号(要介護) 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの
2級1号(要介護) 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている。
身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
3級3号 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。
また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。
しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級2号 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。
このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級4号 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

後遺障害の種類について

ご家族やご本人が後遺障害を負ってしまわれた場合は、適正な賠償金を獲得するためにも、後遺障害の種類を把握しておくことが必要です。

特に重度の後遺障害の場合、適正な判断が行なわれなければ賠償金額が大きく異なることもありますので、まずは交通事故問題に力を入れている、後遺障害に詳しい専門家の弁護士に相談しましょう。

交通事故に遭遇して怪我をし、治療を続けていたがそれ以上の改善が望めない場合の障害を後遺障害(後遺症)と呼びます。後遺障害の種類は数多くありますが、代表的な後遺障害は下記のとおりです。

代表的な後遺障害の種類

病状 症状
遷延性意識障害 重度の昏睡状態(植物状態とも言います)
高次脳機能障害 脳の損傷による記憶障害、注意障害、認知障害など
脊髄損傷 中枢神経系である脊髄の損傷による障害、運動機能の喪失、知覚消失など

RSD 外傷が治癒したあと、アドレナリンの放出により慢性的な痛み、痺れを感じる障害
各部位の損傷による障害 骨折、脱臼、筋肉、腱、靱帯損傷、神経損傷、麻痺など