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遺産分割協議

相続人と相続分が確定したら、遺産分割協議を行います。これは、相続人が一堂に会して行う場合もありますが、持ち回りで書面によって行うことが多いと思われます。どのような方法を取るにせよ、遺産分割の内容について、全員の相続人の同意を得るのが、遺産分割協議であると言えます。

遺産分割協議がまとまると、遺産分割協議書を作成し、全員が署名捺印(通常実印を押印します)することになります。

この遺産分割協議書で決めた内容は、原則として、後から覆すことはできません。

自分の意に添わないような遺産分割協議書であっても、一度署名捺印してしまうと、後からそれを覆すことはほとんど不可能です。ですので、内容について合意できない場合、署名捺印はせず、弁護士等に相談して下さい。

次のような場合には、遺産分割協議自体を弁護士が代理した方がよいと考えられますので、まずはご相談下さい。

  • 他の相続人が、理不尽な要求をしている場合
  • 他の相続人が、遺産分割協議書への署名捺印を強要してくる場合
  • 他の相続人が弁護士等に相談している場合
  • ご自身で他の相続人と交渉することが負担となる場合

このような場合、弁護士は、一般的に妥当と考えられる範囲内で、最大限に依頼者の皆さんの要望をかなえるよう交渉を行っていきます。

相続人の範囲と法定相続分

相続財産の調査後、具体的な遺産分割協議の話を進めて行くことになりますが、この協議の際に、最も大きな基礎となるのが、「法定相続分」です。法定相続分は、誰が相続をするか(相続人の範囲はどこまでか)によって変わってきます。

1.相続人の範囲まず、配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となります。

配偶者の次に相続人となるのは、次の方々です。なお、自分より上位の順位の方がいる場合には、相続人とはなりません。

第一順位 子(直系卑属)
第二順位 親(直系尊属)
第三順位 兄弟姉妹

2.法定相続分

配偶者と他の相続人の法定相続分は次のとおりです。

配偶者と子の場合 配偶者=二分の一 子=二分の一
配偶者と直系尊属の場合 配偶者=三分の二 直系尊属=三分の一
配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者=四分の三 兄弟姉妹=四分の一

子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いる場合、さらにそれを人数で割った割合となります。

相続調査について

遺産分割協議を行うには、まず、相続人と相続財産の調査を行う必要があります。これは、相続人と相続財産の内容が、遺産分割のそもそもの大前提だからです。

相続人が確定しないと法定相続分の計算ができませんし、遺産分割後に新たな財産が見つかるとその帰属に問題が生じます。そのような場合、遺産分割協議をやり直さなければならないこともあります。

従って、まずは、正確に、相続人と相続財産を確定させる必要があるのです。

  • 父(又は母)が異なる兄弟がいる。
  • 被相続人には子どもがいない。
  • 被相続人の財産がどれくらいあるかわからない。
  • 不動産や株式をどう評価すればよいのかわからない。

このような場合、①相続人の調査と、②相続財産の調査を行います。
①相続人の調査では、戸籍を取得して、相続関係図を作成し、相続人を確定します。
②相続財産の調査では、被相続人名義の財産を調査し、土地や株などの金銭以外の財産については金銭に評価し、財産目録を作成します。

この調査を行うことにより、ようやく各相続人の相続分が判明します。

いずれにしても、面倒な手続ですので、調査が必要な場合には一度弁護士に相談することをお勧めします。

遺産分割の流れ(遺言がない場合)

遺言が無い場合、法定相続人全員で、法定相続分をベースにして、遺産分割協議を行うことになります。この場合の大まかな流れは次のとおりです。

  1. 相続人の確定
  2. 相続分の算定
  3. 遺産分割協議
  4. 遺産分割調停(3でまとまらない場合)
  5. 遺産分割審判(4でまとまらない場合)

1.相続人の確定

まず、相続人を確定させることが必要です。関係する戸籍等を全て取り寄せ、漏れが無いように、「相続関係図」を作成します。離婚している場合や養子縁組をしている場合もありますので、注意が必要です。難しければ、専門家に依頼した方が良いでしょう。

2.相続分の算定

相続人の財産の調査をする必要があります。これは、①そもそもどのような遺産があるのか、②その遺産は金銭に評価するとどれくらいになるのか、に分けて考える必要があります。
財産調査によって金銭評価した遺産の総額がわかると、各自の法定相続分が算定できます。

3.遺産分割協議

算出した各自の法定相続分をベースにして、誰がどの遺産を引き継ぐのか、相続人全員で協議をして決めます。協議がまとまると、全員が署名捺印し、印鑑証明書を添付して、遺産分割協議書を作成するのが一般的です。

4.遺産分割調停

当事者である相続人だけでは遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に、遺産分割調停を申し立てることになります。調停においては、当事者が、裁判所が選任した調停委員を間にはさんで交渉をしていくことになります。

裁判所が間に入るため、一般に、公正で妥当な遺産分割協議をすることができますが、他方あくまで話し合いによる解決ですので、調停が成立しない場合もあります。

5.遺産分割審判

一般に、調停がまとまらない場合には「審判」に移行します。審判では、裁判所が、法律に基づき、遺産分割の方法を決めることになります。

調停を経ずに、いきなり審判を申し立てることもできますが、多くの場合、「付調停」と言って、裁判所の職権により、調停に付されることになります。

6.訴訟

遺産分割の前提となる事実について相続人間に争いがある場合には、調停や審判ではなく、訴訟を提起する必要があります。例えば、ある財産が被相続人の遺産に含まれるかどうか不明の場合には、その財産が遺産かどうかを確認する「遺産確認訴訟」を提起することが必要となります。

以上が大まかな流れですが、遺産分割の方法について争いがある場合には、一般論として、早めに弁護士に依頼した方が、スムーズに進むことが多いと考えられます。

遺産分割の流れ(遺言がある場合)

ここでは、遺言がある場合の遺産分割の流れについてご説明します。

遺産は故人の財産ですから、故人の遺志が示されている場合、それを尊重すべきことになります。この「故人の遺志」が「遺言」です。例えば、遺言で、生前特 に面倒を見てくれた人に対して民法と異なる割合によって相続させることが明示されている場合、それに従うことになります。

1.遺留分

相続人には「遺留分」と呼ばれる、一定の財産を相続する権利があり、この「遺留分」が侵害されている場合には、それに対して異議を唱えることができる制度があります(「遺留分減殺請求」と言います。)

遺留分の計算は、誰が相続人となるのかによって異なります。また遺留分減殺請求権の行使には、期間の制限もあります。

遺留分を侵害されている可能性が高い場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

2.遺言の形式

なお遺言の形式は、主に、次の三種類があります。

① 自筆証書遺言

遺言を作成する者が、遺言全文と作成日と氏名を自筆で書いた上で、押印するものです。

② 公正証書遺言

公証役場にて、証人2人の立会のもと作成するものです。弁護士の立場からは、この方式によるものがベストです。

③ 秘密証書遺言

作成者が遺言書に署名捺印して封筒に入れ、作成者、公証人、証人2人以上が署名捺印するものです。②と異なり、内容を秘密にできますが、公証人などのチェックが入らないため、内容が無効となってしまう可能性もあります。