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相続・遺産分割のコラム

遺言とは

1.遺言と相続

「相続」とは故人の財産を受け継ぐ行為をいいます。故人の財産を受け継ぐには,遺言と法定相続という2種類の方法があります。

「遺言」は、テレビの2時間ドラマを見ていると頻繁に登場しますから,名前くらいは聞いたことがあるでしょう。遺言とは,生前に故人が、その財産を後に残す者達にどう受け継がせたいかを決める行為のことです。

このような故人の意思がない場合に初めて、法律の規定に基づいた相続が行われることになります(このような相続を「法定相続」といいます。)。  

つまり、相続では、故人の意思が法律よりも優先する関係にあります。逆に、故人がその財産を後に残す者達にどう受け継がせたいかはっきりした意思を持っていても,遺言を残しておかない限りは、法定相続として法律に基づいた相続が行われてしまうので要注意です!

蛇足ですが、2時間ドラマで遺言を巡って親類縁者が骨肉の争いになることが多いのは、その遺言がしっかりと法律のルールに則って作成されていないためです。自分の死後,親類縁者を骨肉の争いにしないために、法律のルールに則った遺言をしっかり作っておくのが賢明です。

次の項は、「では,遺言を残すにはどのような方法があるのか。」という話です。

2.遺言の種類

遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、及び秘密証書遺言の3種類があります。これら3種類の遺言はそれぞれの場面によって使い分けがなされています。

この中で一番簡単なのは,「自筆証書遺言」です。自筆という言葉のとおり、故人が遺言として必要な事項を書けば足ります。ただ、自筆証書遺言で多いのは、法律が規定している遺言の要件を欠き,遺言が無効となるケースです。紙とペンさえあれば自分一人で簡単にできてしまう遺言ですが、逆に人の目を経ないだけに遺言をするために必要な要件をミスで抜かす可能性があります。このような欠点を補うために、遺言に精通している人に自筆証書遺言を見てもらうというのも一つの手です。銀行員、司法書士及び弁護士などなど、遺言に詳しい人はまわりに結構いるものです。

ただし、確実さを考えると、自筆証書遺言より適した形式があります。次の項は、「では、確実に有効といえる遺言を残すにはどうすればよいか。」という話です。

公正証書遺言作成の流れはこちら

相続放棄

相続財産は、現金、預貯金、不動産などのプラスの財産も含まれますが、住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれます。マイナスの財産の方が大きい場合には、相続を放棄することができます。これを相続放棄と言います。

相続には、次の三種類があります。

1.単純承認

被相続人の財産の一切を継承する方法です。特に手続をする必要はありません。

2.限定承認

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかわからない場合に、相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産も引き継ぐ、という制度です。

とても合理的な制度なのですが、非常に手間がかかるため、あまり多く使われていないのが現実です。

3.相続放棄

一切の財産を相続しない方法で、一般に、マイナスの財産の方が多いときに使います。原則として、相続があることを知った日から3ヶ月(熟慮期間と言います。)以内に、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する方法で行います。

なお、相続放棄が行われると、高順位の相続人が相続をすることになるため、順次相続放棄が必要になる場合があります。

寄与分がある場合の計算


特別受益の場合とは逆に、
寄与分を引いて考えます。

寄与分がある場合の計算の例

被相続人である父が、財産5000万円を残して亡くなった。相続人は子二人(兄と弟)だが、兄だけが、生前に、父の借金返済のために2000万円を支払った。

この場合の相続財産は、現実に5000万円が残っているものの、うち2000万円分は、兄の「特別の寄与」によるものと考えられます。従って、5000万円から2000万円を引いた3000万円が、「みなし相続財産」となります。

3000万円を2分の1ずつ分けることになりますので、相続分は1500万円ずつになりますが、兄は、これに加えて寄与分である2000万円を取得できますので、合計3500万円が具体的相続分となります。

一方で弟は、1500万円が具体的相続分です。

寄与分が発生する場合

寄与分は、どのような場合に認められるのでしょうか。

これには、「特別な寄与」、「被相続人の財産の維持または増加」、「因果関係」の三つが必要です。

1.特別な寄与

民法は、寄与行為の例として、「被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付」や「被相続人の療養看護」などを定めています。労務や金銭を提供したり、療養看護したりすることが、寄与行為に当たります。

しかし、寄与行為が全て寄与分となるかというと、そうではなく、「特別な寄与」と評価しうるものである必要があります。どのような場合に「特別な寄与」と言えるかですが、法定相続分による相続では、不公平になってしまう、と思われるかどうかが一つの判断基準です。

例えば、「療養看護」では、たまにお見舞いに行っていたくらいでは認められず、本来職業付添人を雇うべきところを、相続人が代わりにやっていたこと位が必要と言えるでしょう。

2.被相続人の財産の維持または増加

被相続人の財産が、維持または増加することが必要です。被相続人が精神的に満足したというのは寄与分とはなりません。

3.因果関係

前述の「特別な寄与」によって、被相続人の財産が維持または増加したことが必要です。

なお、寄与の時期には制限がありませんが、争いになった場合には、上記三点を立証する必要があります。

特別受益がある場合

特別受益がある場合の相続分について、
具体例を見てみましょう。

特別受益がある場合の例

被相続人である父が、財産5000万円を残して亡くなった。相続人は子二人(兄と弟)だが、兄だけが、生前に2000万円の自宅建築費用を全額援助してもらっていた。
この場合、まず、遺産の総額はいくらになるでしょうか。

そもそも5000万円しか残っていませんが、2000万円の援助が「特別受益」に当たりますので、それを「持戻す」必要があります。したがって、相続財産は7000万円となります(持戻し計算を行った後の相続財産を、「みなし相続財産」と呼びます)。

次に、みなし相続財産の7000万円を元に、各自の相続分を計算すると、それぞれ3500万円ずつ(相続財産の2分の1)となります。

最後に具体的相続分がいくらになるかというと、兄は既に2000万円をもらっているので、残額の1500万円ということになります。一方で弟は、3500万円そのままの額が相続分ということになります。

従って、特別受益があるため、5000万円を、兄が1500万円、弟が3500万円と分けることになります。